こども相談室

2013年9月10日

第46回 りんご病について

りんご病ってどんな病気?

「頬がりんごのように赤くなる」感染症で、正式名称は「伝染性紅斑」と呼びます。主に幼児、小学生に流行します。

 

 

原因、潜伏期間は?

ヒトパルボウイルスB19が原因です。感染している人の唾液などからの飛沫感染、皮膚などについたウイルスに触ってしまう接触感染により、人から人に感染します。感染から発症までの潜伏期間は10~15日程度です。

 

 

症状(頬以外にも斑がでるの?)

最大の特徴は、左右の頬に紅斑が現れる点です。続いてお腹、お尻、手足などにレースカーテンのような赤い発疹がでます。顔が赤くなる1週間から10日前に微熱や咳、鼻汁などの風邪症状が出るのも特徴。この時が、ウイルスが血液中にもっとも増えた状態で、感染力が強い時期です。しかし、この時点でりんご病と診断されることはほぼありません。一方、発疹が出た時点では隔離などの必要はなく、学校などを休む必要はありません。

 

 

予防と治療

今のところ予防するワクチンや、特別な治療法はありません。経過としては、赤みは約1週間で消えますが、その後も紅斑が出たり消えたりする症状が3~4週間続くこともあります。

 

 

大人もかかるって本当ですか?

小児に多く発症する疾患で、成人になると約50%以上の人が免疫を獲得しますが、大人にもしばしば感染します。大人が感染した場合は、関節炎を発症することが多いのが特徴で、この関節炎は2~3日ほどで回復するケースが大半です。また、頬は赤くならずに手足だけに発疹が出る場合があります。発疹の症状は子供より長く、発熱や関節痛、全身倦怠感を伴い、子供に比べると重症化することが多いのが特徴です。

 

 

妊婦への感染に注意!!

特に注意が必要なのは妊娠中の感染。りんご病で死亡する可能性は高くありませんが、妊娠中にりんご病が重症化すると、赤ちゃんに流産や胎児水腫などの深刻な影響が出る恐れがあります。胎児水腫にかかると、赤ちゃんは、皮膚が水ぶくれ状態となり、重い貧血に陥ります。(ただし、このような確率は風疹よりは少ないです。)

 

 

(千葉県小児科医会 沼澤 環 医師)

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