こども相談室

2015年3月10日

第52回 小児がん(治療・治療後について)

治療の決め方は?

治療を始める前に、がんの広がりと、がんの悪性度(治りにくさ)を様々な検査で総合的に判定します。そしてそれらを基にして治療方針を決定します。こうした考え方は、血液のがんでも固形がんでも同じです。この時点で、家族は、治る可能性がどれくらいであるかの予測を告げられることになります。

 

 

どうやって治しますか?

白血病のお子さんに抗がん剤を使うことは言うまでもありませんが、固形がんでも手術だけで治るのは例外で、通常、抗がん剤を使います。また放射線療法を併用することも稀ではありません。最も悪性度の高いがんに対しては、造血幹細胞移植を併用した超大量抗がん剤治療をおこないます。抗がん剤の副作用で血液が無くなってしまうので、造血幹細胞を移植(実際には注射するだけ)して血液を増やす治療方法です。抗がん剤治療の合間には一時的に自宅に戻ることができますが、すべての治療はおよそ1年かかります。

 

 

治ったあとは?

がんが完全に治っても、治療の後遺症が後になって出てくることを晩期障害といいます。普通の生活が送れるかどうかは、晩期障害の重さによると言えます。ただ、免疫力は普通の状態に回復していますから、幼稚園や学校などには問題なく行くことができます。
がんを克服した子は頭髪が薄かったり体力が強くないため、からかいやいじめの対象になることがあります。しかしこうした無理解は、子どもに限ったことではありません。子どもの意識は大人の心の映し鏡です。大人である私たちが無知や偏見を捨てることが、がんを生き延びた子どもたちを支援する第一歩になります。

 

 

(千葉県小児科医会 松永 正訓 医師)

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