こども相談室

2011年3月10日

第36回 夜尿症

夜間睡眠中の尿漏れを「夜尿症」と呼んでいます。昼間も漏れる・頻尿などの症状がある場合は「遺尿症」と区別しています。

 

何歳から治療するの?

汎用症は自然に治る場合も多く、就学児では年10〜15%の自然治癒がるといわれています。しかし、自然に治らない児もいますので昼間の症状の有無や夜尿症の頻度によって就学以降さまざまな治療が試みられています。

 

どうゆう原因があるの?

排尿習慣や生活習慣によるものも多く、また家族に夜尿症歴があると夜尿症が治りにくいといわれています。その他に次のような基礎疾患が隠れていることがあります。

◆夜間多尿
神経性多飲症・先天性腎奇形・尿崩症・糖尿病 等/昼間の尿量に比べ夜間の尿量が多い。
◆下部尿路疾患
先天性尿道狭窄・過活動膀胱 等/昼間もあわててトイレに行く・ちびるなどの症状があることが多い
◆脊髄疾患
二分脊椎 等/慢性の便秘や便のもれを伴うことがある。

 

検査は?

早朝尿の浸透圧検査や、夜間の尿量や排尿の記録をつけることは侵襲なく行えます。そのほか薬が効きにくい場合などは、基礎疾患の有無を確認するために排尿時膀胱造影検査や脊髄MRIを行います。

 

治療は?

生活指導を行った上で、薬物療法やアラーム療法を単独または併用して行っていくのが一般的です。
◆生活指導:
飲水量(夕方からの飲水を減らす)・排尿習慣(トイレを我慢しすぎるのも原因になります)・就寝時排尿・便秘の予防・食事内容や時間などを見直します。
◆薬物療法:
主な薬は三環系抗うつ薬・抗コリン剤・抗利尿ホルモンの三種類で、これらを単独または併用して治療します。有効率は40〜80%ありますが、副作用の報告もあります。
◆アラーム療法:
日本では保険診療では認められていませんが、海外では一般的に行われており、薬物療法と同様の効果も報告されています。下着やおむつにアラームを装着して尿がもれると音や振動で知らせます。薬のような副作用はありませんが、本人も家族も寝不足の心配がります。

 

(千葉県こども病院泌尿器科医長 本間 澄恵 医師)

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