こども相談室

2014年12月10日

第51回 小児がん(全体的なことについて)

がんに罹る子どもは、どのくらいいますか?

子どもが命を落とす最大の原因は、病気ではありません。交通事故や窒息、転落や溺水といった「不慮の事故」です。しかし子どもの病死で最も数が多いのは「小児がん」です。現在わが国では毎年110 万人くらいの赤ちゃんが生まれています。この子たちが15 歳になるまでに毎年2,000 人くらいが小児がんに罹ります。したがって子ども1,000 人に1 人以上の割合で小児がんが発生することになります。どの年齢でもがんになる可能性があります。

 

 

小児がんの種類は?

大きく分けて2 種類あります。約半数が白血病などの血液のがんで、残りの半数が、頭の中やお腹の中などにできる固形がんです。固形がんには、腫瘍が発生する場所によって様々な種類があります。副腎から発生する神経芽腫、腎臓から発生するウィルムス腫瘍、肝臓から発生する肝芽腫などです。頭の中のがん(脳腫瘍)には多数の種類があります。なお、成人で見られる肺がんや大腸がん、胃がん、乳癌、子宮頸がんなどは子どもにはありません。

 

 

症状や治療成績はどうですか?

風邪の症状が無いのに、明らかな発熱が1週間以上続く状態を『不明熱』と言います。医師は不明熱のお子さんを診る時に、必ず小児がんと自己免疫疾患(若年性特発性関節炎など)を疑います。神経芽腫は全身の骨に腫
瘍が転移しやすく、病気の状態としては白血病に似ていると言えます。白血病と神経芽腫と自己免疫疾患は、「熱が長く続く」「関節や骨が痛い」という点で共通性があります。神経芽腫以外の腹部腫瘍はお腹が異常に張っていることで発見されます。脳腫瘍は、「頭痛・嘔吐」や「麻痺などの神経症状」で見つかります。白血病は、現代の医療では80% 以上が治るようになりました。しかし、骨に転移した神経芽腫が治癒することは大変難しいと言わざるを得ません。

 

 

(千葉県小児科医会 松永 正訓 医師)

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