こども相談室

2012年12月10日

第43回 RS ウィルス感染症

RSウイルス感染症とはどのような病気です?

鼻水や咳、発熱がみられます。主に秋から冬に流行し、赤ちゃんから大人まで何度もかかります。多くは風邪症状で済みますが、細気管支炎や肺炎など、呼吸が苦しくなり入院が必要となる場合があります。特に早産児や、心臓や肺に基礎疾患がある場合に重症化することがあります。

 

 

原因は?また検査はできますか?

RSウイルスが原因です。感染している人の咳や鼻水からうつります。検査はできます。インフルエンザの検査と同じように、綿棒で鼻腔や鼻汁をぬぐって検査をする迅速診断キットがあります。(「1歳未満の乳児」など、保険適用には条件があります)

 

 

予防法はありますか?

予防接種(ワクチン)はありません。しかしパリビズマブ(商品名シナジス)というRSウイルスの抗体を注射する方法が、重症化しやすい一部のお子さん(35週以下の早産児、気管支肺異形成症の治療を受けた乳幼児、先天性心疾患をもつ乳幼児など)に承認されています。咳や鼻水からうつりますので、予防のためには手を洗いましょう。

 

 

治療法はありますか?

RSウイルスを殺すお薬はありません。RSウイルスによって気道が荒れた状態になると細菌が二次的に感染することがあります。この場合に抗生物質を使います。他には痰や鼻汁が気道につまりにくくするようなお薬を使い様子をみます。

 

 

お母さんがあわてないためのアドバイス

お子さんの症状をよくみてあげてください。RSウイルス感染症の症状は、軽い鼻風邪程度の方から呼吸が苦しくなって入院する方まで様々です。鼻汁がつまって苦しそうなら鼻汁を吸ってあげてください。咳が出始めたら夜咳込んで起きてしまうことはないか、哺乳ができているか、ハーハー、ゼーゼーして苦しそうか確認してください。苦しそうな兆候があればかかりつけ医を必ず受診してください。

 

 

(千葉県小児科医会 井上 紳江 医師)

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